085882 ランダム
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SweetPain





「System」

分断された現実に
僕らはひっそり
息を はずませる


明日を占うなんて
酷く簡単で
カレンダーを繰り返す
ただの記号


簡単な事だろ?


システムは増殖する


鼓膜を釘が
撃ち抜いて
麻痺する感覚


誰から生まれようと
関係ない時代さ


そんなもんだろ?


僕らは
有機的な無機物質
地下鉄の音に
よく似てる


ないものにばかり
なりたがって


システムが増殖する


あるものには
目を閉ざして


捕えようとして
囚われた

希望と言う名の
欲の果てに
与えられた宣告


明日は何が占うの?


もう 逃げられないよ




システムに 犯される








「アイデンティティー」

あなたは誰?




空洞の眼が探しているものは
きっと
誰の目にも見えることはない


奇妙にねじれた時間が怖いの


わたしは
わたしであって
わたしではないのよ


わかる?


大きな声でいわないで!


恐怖が
音を立てずにやってくる
ひたひたと走り
広がる
暗闇 無限に


ああ


空っぽな体は
このまま
どこに叩きつけられるの?


分からない


わたしが
わたしではないのに
わたしであらねばならぬ理由が


ねじれる音は聞きたくないのよ!


わからない


ワカラナイ




誰か 教えて








「サイクロン」


からくりにねじ巻いて
耳から掻きだす人格の巣窟


気楽に
ほら
気楽にね


金属片が
取り付いてるのは


きっとそこだから


埋めるものなら
何処にもないよ


支配の連鎖に
どうやら
終わりはないらしい


昇るエレベーター
降りるエスカレーター


タイムカードに
日常は存在する


壊してしまえよ


気楽に
そう



壊してしまえ



気楽にね


猛犬にだって
ちっとはマシさ


だけど


金属片は もう 埋まっているんだろう?


廻る廻る
巡る巡る


逆らえないのは一つだけ




君なら どっちを選ぶ?








「ルート73」

泣いてしまえば
それは真実だと言われるの?


東の星には弱虫
その向こうには
悪意が棲んでいる


何回となく
崩壊の鐘を鳴らしながら


あるもの全てを踏み潰してしまう


日常までもが
僕を責めにやってきて


終わるとき


鐘が鳴り


歪んだ
兵隊を引き連れて


終わるとき


踏み潰される


考えなければ
それは許された事にはなるの?




皮肉だよね
そんなところに

答えがあるなんて


僕は 何者?










「貝」

私がまだ小さかった頃
ママが教えてくれた
「死んだ貝は口を開かないのよ」
噴きこぼれる湯の中の
死んだ貝はいつだって
沈んだ
悲しい色をしていた


    何がいいたいの?
    開かない口
    吐き出されるは唯の記号
    だけど
    酷く私を不愉快にさせる


助けて
助かりたい
助かりたくない
どうでもいい
慟哭すら閉じ込めてしまった感情


    殻を割られるのは痛いのでしょう?
    こじ開けられるのは嫌なのでしょう?


海の奥深く ずっと眠っていれば
死んでることすら分らなかったのに


    ずっとそのままでいればいい
    死んだ貝の事など
    いずれ皆 忘れてしまうから
    忘れないでと言ったって
    そんなの もう 届かない


ニオイすら放てない
石ころのほうがまだいい
石ころは石ころとして生まれてきてるのだから


    でも そのままでいいの?
    本当に そのままでいいの?


私には解らない








「枷」

喉には鎖が撒きつけられ
大きく開いた口からは
暗闇が 搾り出される


    まるで煤(すす)のような闇の粒子
    思い出だけが光を与えて
    空へと 散りゆく


光に反応する瞳孔
喪失への恐れ


    人は粉々になった思い出に
    しがみつこうと飛びかかり
    でも
    喉には幾重にも撒かれた鎖


更に 深く喰いこんで


    失くしてしまえば 何が残るの?


作り出す手に楔(くさび)が打たれ
流れ出す赤い液体からは
憐憫が 噴出する


    まるで滴り落ちるような赤い涙
    思い出だけが澄みきって
    地面へ 飲み込まれる


同じこと
全て 同じこと


    失くしたところで 何が残るの?


眩い明日に恐れをなして
美化した昨日に憐れみを乞う


    多分


    最初からそこには何もなくて
    そう
    鎖も
    楔も
    何もなくて


太陽と砂だけが支配する世界に
立ち尽くしているだけ


緩やかに死を待つだけ




    失くすだけのものなら 何故 大事に出来なかったの?




言葉なら もう 届かない






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